全国各園での研修から - SIあそびへのいざない

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全国各園での研修から

 全国各園での研修から












2022年(令和4年度)初任者研修から
令和4年度初任者研修会がスタートしました。園児との保育をリアルタイムで参観しながら行なう研修会は、オンラインによる研修会と違って、課題に取り組んでいる一人ひとりの様子が眼前に展開されて、講義の内容がより具体的に深まるように思われます。
 
  
写真は3月1日・2日岐阜県各務原市子苑第2幼稚園(野島栄子園長)での中部地区初任者研修会の公開保育と講義の模様です。
年中児の集中している姿は新人教師に大きなインパクトを与えました。

今後の予定です。*3月10日現在
 
3月2日 関西地区(上甲子園幼稚園)、3月4日大分地区(なぎさ幼稚園)*終了
3月22・23日 関東地区(世田谷区さくら幼稚園)
3月24・25日   北海道地区(札幌ひかり幼稚園)
3月24日   青森地区(三戸いずみ幼稚園)
3月28・29日   鹿児島地区(田上幼稚園)
3月28日      宮崎地区(天竜保育園)
3月29日   北宮崎地区(富隆学園)
3月30・31日 福岡地区(つるたみとま幼稚園)
4月1日      広島地区(中のルンビニ幼稚園)
 

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2021年度初任者研修から
コロナ禍で昨年度中止を余儀なくされた各地区での『SIあそび』初任者研修会を、今年度は、緊急事態宣言が解除になった合間をぬって3月1日から4月6日まで全国11地区で開催することができました。
直接園児とふれあう公開保育を中部地区(子苑第2幼稚園)と宮崎地区(天竜保育園)の2地区でおこなうとともに、他の地区では2017年度に甲府市岩田学園でおこなった公開保育の録画をもとに講義する方法をとりました。
一日だけの設定の研修会では指導方法を重点的に掘り下げて分析。二日間の日程で開催された会場では「幼児教育の担うべき役割」「幼児の発達のみちすじ」「知能と創造性」など理論と実践の統一という視点から講義しました。
11地区の開催日程、開催園、講師などは以下の通りです。

3月 1日(月)~2日(火) 中部地区  岐阜県各務原市子苑第2幼稚園(野島栄子園長):講師・白濱泰一郎、白濱洋征
                                                     *3月1日 年少児クラスで公開保育と分析(指導・白濱泰一郎)
                      *3月1日 基礎理論の講義および2日の講義は白濱洋征が担当
3月  2日(火)        関西地区  西宮市上甲子園幼稚園(中山道代園長):講師 白濱泰一郎
3月  5日(金)        山梨地区  甲府市いづみ幼稚園(岩田公之輔園長):講師 白濱泰一郎   
3月19日(金)           大分地区  大分市みどり幼稚園(大津康司園長)   :講師 白濱洋征
3月23日(火)           宮崎地区  都城市天竜保育園(佐々木智子園長)   :講師 白濱洋征
                    *年中児クラスで公開保育(指導・白濱洋征)
3月23日(火)          北宮崎地区 日向市富高幼稚園(森迫建博園長)   :講師 白濱泰一郎
3月24日(水)             関東地区  東京都世田谷区さくら幼稚園(千野郁子園長):講師 白濱洋征
                    *会場での研修を希望園にYouTubeで全国配信
3月29日(月)~31日(水)    釧路地区  釧路市釧路学園(伊原明理事長)     :講師 白濱洋征
4月 1日 (木)~ 2 日(金) 北海道地区 札幌市美晴幼稚園(東重滿園長)        :講師 白濱洋征
4月 3日 (土)        青森地区  青森県三戸町いずみ幼稚園(小野正志園長) :講師 白濱泰一郎
4月 6日(火)         広島地区  広島市中野ルンビニ幼稚園(霊岳弘志園長) :講師 白濱洋征
                                                      *Zoomによるオンライン研修

『SIあそび』は①「自分で答えを出すあたま」②「創造的なあたま」③「物事を前向きにとらえるあたま」を育てることを目的にした教育プログラムです。それは子ども一人ひとりの自発性を引き出すことなしには成り立たない活動です。
設定保育(課題活動)ではあっても、一斉に子どもに何かを教えたり、させたりすることではなく、どこまでも個を重視する、すなわち、一人ひとりの可能性を引き出し、可能性をひらく活動です。従って一人ひとりの子どもと教師がどう向い合い、響き合うか、教師の指導力が鋭く問われます。
40年近くにわたって、一貫して、私たちは教師研修を最も重要な柱として取り組んできました。全国、地区、各園内でほんとうに毎日のように研修会を重ねてきました。30年以上も『SIあそび』を続けている実施園が100園以上に上るのも「教師を鍛え、育ててくれる」という実施園の期待と負託に私共が応えてこられたからだと自負しています。初任者研修会の開催は多くの実施園から待望されていました。それだけに今回の研修会の開催は感慨ひとしおのものがありました。

今回は2地区のみで公開保育による分析を行いましたが、リアルタイムで目の前の子どもの様子を観察できる公開保育は、初めて『SIあそび』にふれる新任の参加者にとってはより新鮮であり、ドラマチックであり、教師の行動を間近にかつ客観的にとらえられる点でも教師研修には不可欠だという事を実感しました。オンライン研修が研修会の主流になりつつある現状の中で、あらためて「リアル」の大切さを一層強く学ぶ機会になりました。

研修参加の80人余りのみなさんから寄せられた感想文の中から新人教師たちの熱い思いを共有していただきたく一部を研修の様子の写真とともにご紹介させていただきます。(白濱洋征 記)

2021.3.1 中部地区(子苑第2幼稚園)
       講師:白濱泰一郎
中部地区研修会(2021.3.1-2)
「子供たちへの言葉がけで命令形を協力をお願いする言い方に変えるだけで子どもの受け止め方が前向きになることを知りました。今まで子供たちへの言葉がけをあまり深く考えずにしていたのですが一つひとつの言葉に意味を含ませ自立への援助を心がけたいと思います」(子苑第2幼稚園H.H
 
「私は幼稚園児として『SIあそび』を体験しています。当時はただ楽しく遊んでいるだけでしたが研修を受けて、様々な工夫がされていること、たくさんの願いが込められていることが分かりました」(子苑第1幼稚園N.T

「特に印象的であったのは、褒めることは子どものあるがままの姿を認めることという言葉でした。私の理想の保育者像は子ども自身が他と違っても大丈夫だと感じ、個性を大切にできるようにしてあげることなので、この2日間で学んだ『SIあそび』の指導法を基に子どもとどのように関わるのか、どのタイミングで何をすべきなのか細かく意図をもって普段から保育を行うよう心掛けていこうと思います」(子苑第二幼稚園A.O
 
「『SIあそび』をするにあたって教師が守らなくてはいけないことは、子どもをほめて動かし、勇気づけること。子ども同士を比べないこと。子ども一人ひとりの違いを受け止め、その子どもにあったペースを大事にすること。できる、できない、の結果を問うのではなく、子どもたちが活動を一生懸命に取り組んだことを褒めてあげること。なるべく手や口を出さず見守り子どもを信じてあげること。この5つの事を学んだので、私が保育者になった時に学んだことを生かしていき、子どもたちが幼稚園は楽しい場所であることを伝えて行けたらと思います。(真貴幼稚園N.H






2021.3.23 宮崎地区(天竜保育園)
      講義:白濱洋征




大分地区研修会(2021.3.19)
「ここでの話の一つ一つが、私自身が先生になるために必要で大切なものばかりでとても勉強になりました。4月から保育教諭として働いていく身としてこの話をしっかりと胸にきざみ頑張りたいと思います。また『SIあそび』を通して子どもたちがより大きく成長していけるよう全力でサポートしていきたいと思います。」(みどり幼稚園H.I)

宮崎地区研修会(2021.3.23)
「公開保育を見て、声掛け以外での指示の出し方の大切さを感じました。何よりも、子ども達はアイコンタクトで指示が分かること、そして分からないことは「次はどうするの?」と友達に聞く姿が見られることに感心しました。個人差に応じた援助の仕方をすることで、一人ひとりのペースで落ち着いて取り組むことができるということも分かりました。また、『SI保育』は、クラスをまとめるということにも繋がり、子どもたちが自分たちで考え動くことができるようになるためにも大切なあそびなのだと感じました。」
(天竜祝吉幼稚園Y.E)
 
 
「今回の公開保育を見て、白濱先生のゆったりと、どこからでも子どもの発言を受けとめる姿勢や、肯定的な言葉掛けの多さ、どんなに小さな意見でも拾って復唱する様子など、吸収するべき教師としてのあり方を学び、また、自分には心の余裕、子どもの発想を信じる力が足りてないと気付き反省しました。」(今町保育園A.N)
 
 
「何を行うにしても導入はとても大事だと改めて知ることができました。今回の公開保育のように子どもたちの好奇心を引き出せるように声掛けの仕方や保育者の援助方法などを研究し、学んでいけたらいいなと思います。」(天竜第二幼稚園M.H)
 
 
「子どもの行動に対して、ついつい怒ってしまったり、評価をしてしまったり、遅れている子どもに対して手や口を出してしまいがちだけれど、これらの事は何一つ子どもにとっていい事ではないことが分かりました。」(天竜保育園N.H)

関東地区研修会(2021.3.24)
 「保育者の、子どもに対しての関わりや言葉掛けを少し意識して行うことでこんなにも保育が深まるのかと驚きました。日々の保育の中で楽しい、おもしろい、うれしいと子どもたちが思える瞬間を1秒でも多く作り、活動に対して子どもたちが意欲的に参加できる環境を構成できる保育者なりたいです」(弥生保育園K.K)

「今回学んだひとりひとりの力を引き出すための言葉がけを意識してこれからの『SIあそび』を行なって行きたいと思います。(みやしろ幼稚園M.K)

 
 


「実際に『SIあそび』をしているビデオを見ながらの研修だったので、とてもわかりやすく学ぶことができました。手や口出ししすぎない、という事はとても難しいことだと思いますが、子どもひとり一人の事をしっかりと考え、取り組んでいきたいと思います。」(行徳あけぼの保育園M.H)

「私はこの研修に参加させていただき、子どもの意欲を育てることの大切さを学びました。子どもが安心して取り組むことができるような言葉がけ、しぐさ、声の調子など色々なことに配慮しなければいけないことに気付きました。言葉かけによって、子どものやる気にもつながるので、前向きな言葉をかけてあげられるようにしたいです。」(さくら保育園S.H)
北海道地区研修会(2021.4.1.-2)
 
「私の園の教育方針が今回学んだことと通ずるところが多く改めて自分の保育を振り返る機会になり、無意識にしていた言動が良くなかったのだと知ることができました。今後は一つひとつの言動に気をつけながらより良い保育をしていきたいと思います。」 (慈恵ひまわり幼稚園R.U)
 
「保育とは、あくまでも子どもが主体という事を忘れてはいけない。しかし、先生という立場も忘れない、という事を考えさせられました。」(札幌市ひかり幼稚園R.K)

 
「SI初任者研修会に参加するのは4回目でしたが、毎回新しいことに気付ける貴重な時間でした。『究極のしあわせとは何か』のはなしを聴くと、気持ちを新たに1年間を過ごそうという気持ちになります。新年度が始まるこの時期に講義があることは本当に恵みだなと感じます。充実した2日間の研修となりました。」(札幌市ひかり幼稚園A.N)

 
「教師の言動全てが子ども達にとって意味のあるものでなければならないことを感じました。言葉掛けや働きかけ、どのような状況でどのように対応したら良いか、具体的に教えて下さることで、今後すぐに自分の身になる研修となりました。」(光の泉幼稚園Y.T)
 
「マスクをしている毎日で、口元の動きや表情は見えませんが、ほほ笑み返すことと優しい声掛けも忘れずに、子どもと接していきたいと思います。(光の泉幼稚園R.S)

 
「今回の『SIあそび』の研修を受けて学んだことは子どものことを肯定することであり、『できたね、』ではなく『よく気が付いたね』と言う伝え方や、命令ではなく『~してみようか』等提案する言葉かけを学ぶことができ、今までの保育を見つめ直すきっかけとなりました。」(光の泉幼稚園M.O)

 
「今回の研修を通して、子どもに対して愛をもって優しく関わり、自分らしく関わっていこうと思いました。子どもの思いを受け止め、子どもがのびのびと自分らしさを出せるように保育者自身も、のびのびと活動し、失敗しても次また頑張る姿を子どもに見せ、モデルとなれるよう立ち振る舞っていきます。『SIあそび』だけでなく普段の保育でも、今回の研修で学んだポイントをおさえて、子どもの自主性や気づきを大切にした活動を行えるよう考えていきます。」(美晴幼稚園K.Y)
 
「子ども一人ひとりとの信頼関係を築いていけるように、沢山褒めて「ありがとう」という言葉を伝えていくことを大切にしていきます」(美晴幼稚園S.H)
 
「愛着から子育てが始まるという言葉に改めて感じることが多くありました。子ども達にこのように育って欲しい、ここを頑張って欲しい等の気持ちから、普段ついつい言いがちになってしまう言葉使いに反省させられる思いがありました。子どもを受容し、近づきすぎずに見守りながら成長を待つ辛抱強さを心に刻みながら、今後の保育に生かしていこうと考えています。」(美晴幼稚園M.I)
2021.4.1.-2 北海道地区(美晴幼稚園)
      講師:白濱洋征

ひかり幼稚園・ひかりの国幼稚園合同研修会から(2021.5.8)
5月6~8日北海道苫小牧市原学園ひかり幼稚園・ひかりの国幼稚園(下山真理子理事長)の合同研修会が開催されました。昨年度はコロナ禍で実施できず、2年ぶりの開催となりました。6、7日と両園の公開保育を参観し、午後はその保育について新任教師を重点的に分析しました。今年は年少、年中クラス共に泣く子がほとんどいなくて、今までにない現象だと教師たちが述べていました。どの子も『S Iあそび』が大好きで、毎年卒園の思い出に『S Iあそび』を挙げる子がいるそうです。教師たちのことばがけの優しさを入園動機に挙げる保護者も多いそうです。
ところで、先生方からのお話にあった「今年は泣く子が少ない」について、それはどうしてだろうという話になりました。例年だと入園時期の4月には、特に年少児や初めて入園した年中児たちのなかには必ず「泣く子」がいて、それにつられて何人かは泣き続けることになるというのですが、今年は泣く子がいないというのです。結局、多分コロナ禍のせいで自宅で母親と一緒に過ごす時間が長くなって、「母子分離不安」を抱く子が少なくなったのではないか、という私の推論に落ち着いたのですが、コロナ禍の中の周囲の環境は泣くどころではない緊張感をもたらしているのかもしれませんし、ここはぜひ他の実施園の様子もうかがって深めたいところです。(白濱洋征)
研修日誌(2020年10月~2021年1月)から
  『SIあそび』研修センター代表 白濱洋征
 2020年
 10/7~8        八戸市  八戸めぐみ幼稚園       母親講演
 10/20            船橋市  あけぼの会 4園合同研修会
                        於:船橋市 さくら保育園
 10/21            豊川市  花井幼稚園           母親講演
 10/23            山梨市  双葉幼稚園           母親講演
 10/27            横須賀市 湘南栄光幼稚園    母親講演
 10/30       横須賀市 湘南栄光幼稚園    母親講演
 11/5              鹿児島市 武岡幼稚園                   母親講演
 11/6              宮崎地区 2020年度初任者研修会
        於:都城市天龍保育園
 11/20            船橋市     あけぼの会4園合同研修会
                   於:  船橋市 弥生幼稚園
 12/24            横浜市     ばらの幼稚園
 2021年  
 1/15              横須賀市 湘南栄光幼稚園
       Zoomによるオンライン研修
         初めてのオンライン研修会。今回は園児との公開保育を基にした授業分析ではなく、これから予定されている単元の
                          事前検討を中心にした研修でした。 
         年少 「おなじかずはどれかな」では導入教材でバナナを題材に取り上げましたが、バナナは1房2房と数え、リンゴ
                          やミカンは1個2個と数えるので、個数の数え方が異なると年少は混乱するのではないか。となると、バナナ以外の
                          材料がよいのではないか、などの意見を交換しました。
           
                    「さんすう」(算数)の学習と「SIあそび」の違いを理解し、小学校入学までに、数唱計数概括抽出と「数の概                            念化」が形成されていくプ ロセスについて白濱がお話しました。また、 分類(仲間に分ける)することや一対一対応
       がしっかりできているかを発達保障の視点からひとり一人を観察することを提案しました。
                        今回は、導入教材を写真に撮って事前にメールで送ってもらいそれをもとに発問の適否などについて具体的にやりと                            りしながら研修を進めました。
          
       こうした意見のやり取りはオンラインでできるのですが、クラス全体の様子や教師の具体対応についての検討、
       研修はやはり保育の現場に密着したほうがお互いに理解しやすいように思いました。
        
          映像が中断しないか、ネット上でトラブルが発生しないかなど、緊張の連続でしたが、まずは無事乗り切ってほっと
         しました。オンラインによる研修についての可能性を感じるとともに、今後の改善点などについてもヒントを得る
                          こときました。

 1/25              横須賀市    湘南栄光幼稚園        幹部教職員研修会
                          白濱が「SIあそび」を日常保育の中にどのように位置づけるか、あらためて「SIあそび」とはと題して、およそ1
         間30講義、それをもとに、みなさんから疑問点など質問を出していただき、討論、意見交換しました。
         講義についてもその場ですぐに反応が返ってきますので、オンラインとは違った、対面研修の長所を実感しました。
                          言うまでもありませんが、ミュニケーションとは人と人とのふれあい、心と心の交流であることを痛感しました。

教師研修がなぜ必要なのか

SIあそび』は子どもが「自分で答えを出す頭」を育てることを目的にする教育活動です。
自分の頭で考えることを幼児期から習慣化することによって「考えることは楽しい」「学ぶことはおもしろい」という「学習への構え」を自然に身につけることができます。そして自分で考える(そのうえに問題解決する)体験を積み重ねることは創造的な頭脳(やわらかで柔軟な思考力)の土台を作ることでもあります。
同時に、考えること(問いに答えること)とは、答えを出すことに時間がかかる営みであり、試行錯誤しながら、あれやこれや迷いながら答えを導き出す根気強さが求められる作業でもあります。
従ってこの遊びは、結果よりも過程を重視することと課題(壁)から逃げない勇気をあたえてあげる「技法」が必要になります
最新の脳生理学では、子どもが一生懸命考えることを「ドーパミンサイクル」と言って、子どもが熱中し集中することが「本当の頭のよさ」を創ると述べています。
子どもが課題に生き生きと取り組み問題解決に向かって最後まであきらめずに挑戦し続けるためには、教師の対応が重要なカギになります。
SIあそび』は一斉保育(始めと終わりがある)の形態を取りますが、50分間の中身は極めて自由でなければなりません。
自由とは、子どもの心が解放されているということです。
 ➀子どもを𠮟ったり、注意をしたり、命令したり、抑圧を加えたりしない。
 ➁子ども同士を比べたり、競争させたりしない。
 ➂なるべく手や口出しをしないで見守る。
 ➃子どもに「出来ること」(結果)を要求しない。
ことが、教師が心掛けたい姿勢ですが、特に留意したいことは
 ➄一人ひとりの違いを前提に各々のペースに即応させる進め方をしていくということです(指導の個別化)。
そうした環境が用意されることによって初めて子どもは主体的に自分自身で選択し自己決定できるのです。
また活動にやる気はあっても参加できない子どもや、情緒的に不安定な子どもに教師は寄り添いながら、よりよき援助の方法を見つけることもできます。
保育(授業)はドラマです。予期できなかった事が次から次へと起こります。指導案通りに行かないからおもしろいのです。
その事実を重ね、記録することによって子どもの可能性を開く手がかりを学んでいくのです。教師と子どもの関わり方を振り返ることによって、子ども主体の保育(自ら気づき、自ら考え、判断する)をどこまで追求し目指すことができたかお互いに議論しながら深めていくのです。
昨年は幼稚園や保育園に直接出向いて実際の保育に触れながら研修する事が数園を除いてできませんでした。
本年はオンラインをはじめとするICTを活用することで積極的な学び合いを展開したいと考えています。
みなさまからも知恵をいただき、知見を深めながら、『SIあそび』を力強く転回していきたいと考えています。
                                     『SIあそび』研修センター 代表  白濱洋征
☆写真クリップ~各園の研修風景から~

鹿児島市 武岡幼稚園(2020.11.5):教員、保護者、子どもたちもマスク、教室の風景が変わった
 
横浜市     ばらの幼稚園(2020.12.24):録画した先生方の『SIあそび』保育実践を視聴・検討、距離をとってフェイスシールド着用

   
横須賀市 湘南栄光幼稚園(2021.1.15):Zoomによるオンライン研修   (2021.1.25) 湘南栄光幼稚園幹部職員研修:対面による研修


『SIあそび』研修センター代表 白濱洋征
  北海道・釧路、帯広での研修から
2020年8月2日~4日

8月2日()、3日()SIあそび研修センター代表白濱洋征は釧路市釧路学園(伊原明理事長わかばフレンド幼稚園、みはらフレンド幼稚園、愛国フレンド幼稚園)3園合同初任者研修会に招かれ講義しました。
釧路市内ではこの3園が、園児数をはじめとして他園を圧倒しているだけでなく、SIあそびにも絶大な信頼があります。
同学園は35年にわたって「SIあそび」を実施していますが、道東の地理的な条件から北海道地区の研修会には参加せず、毎年4月、6月、9月に学園単独の研修会を重ねてきました。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月と6月の研修会がひらけなかったため、夏休み直前に2日間の研修会を設けることになったものです。この日は5人の新人教諭と3人の2年目の教諭が研修に臨みました。
例年はまず講師(私)が児童たちを前に実際にモデル授業を行い、それを分析しながら学びをすすめるのですが、今回は、以前収録した私の保育ビデオをもとに講義することにしました。
 
                        (伊原理事長・研修参加のみなさんとともに)          
今回は、広い遊戯室を会場に、全員マスク着用、「ソーシャルディスタンス」を意識して着席という、これまでとは違った教室風景となりました。
新人のみなさんは、先輩教諭の保育を「手本」に、6月から「SIあそび」に取り組んできたということで、すでに6~7回「SIあそび」の実際を体験しているということでした。
「どうですか、子どもたちは楽しく取り組んでいますか?先生方にとって『SIってなんだか気が重いなぁ、嫌だなぁ、なんでこんな設定保育をさせられるのかという気持ちになることはないですか?子どもたちと一緒に楽しいと思える教室になっていますか?」と、まさに開口一番、問いかけました。
そうしたら、みなさんからそろって「楽しい!」という答えが返ってきました。
「『今日はSI あそびをします』というと『やったあ!』と子供たちが声をあげる」「『SIいつやるの』って子どもたちから聞かれることも…」と新人の先生方。うれしくなるとともに、先輩の先生方が「SIあそび」の指導の根幹をしっかり捉えて伝えるべきはしっかり伝えてくださっていることに心打たれました。
「コロナウイルス禍」で思うように研修活動に臨めない状況にあるだけに、こうして実際にみなさんとお会いして生きた「ことば」に触れると、「ああ、来てよかった!」と本当に胸が熱くなるのでした。加えて、長く「SIあそび」教育に携わってきた私の「SI」への思いをさらに強くすることになりました。
2日間の研修後に書いていただいた「感想・レポート」にはみなさんの実感が綴られていて、読み返す講師の私も感動を新たにするばかりです。すべてをご紹介できないのですが、少しピックアップしておきます(一部要約、文責筆者)。
・「自分で答えを出すあたま」を育てるという「SIあそび」がめざす目的がより明確に理解できた。
・人より早く、たくさん、上手にという競争原理ではなく、まず自分で気づき、考え、判断する、そして考えることを楽しむ、そんな、子どもたちの「考える姿勢」を大事にして、受け入れる保育をめざしたい。
・できた、できないという結果ではなく、過程を重視した言葉かけや援助をするということが最も重要な視点だと気づいた。このことを、日常の保育でもぜひ生かしていきたい。
・子どもの気持ちに寄り添う、待つ、関心をもって見守ることの大切さがわかった。時間に追われる普段の保育ではなかなかできないことだが、それだけに、「SIあそび」の時間にはできるように「意識改革」に努力したい。
・「おもしろい」「楽しい」「うれしい」という子どもの気持ちの原点を常に大切にして子どもの行動を見つめ直そうと思った。
・保育者の使命の重さ、大きさに気づかされた。
こうして振り返る時、新型コロナ禍の中、足を運んで本当によかったと思うとともに、感染拡大に細心の注意を払わなければならない厳しい状況の中で「研修」を実施する決断をされた伊原明先生はじめ教員・職員のみなさんにこころからの感謝と敬意の念を抱いたのでした。

釧路に続く8月4日は帯広市帯広学園(遠藤崇浩理事長第一いずみ幼稚園、帯西幼稚園で2園合同の夏期合同研修会に臨みました。
北の大地と大空!雄大な十勝平野の中心にひらけた帯広市の西部に位置する帯広学園は2015年に「SIあそび」全国設置者・園長研修会を開催したところです。緑の芝生と白樺の林、まるで絵本に出てきそうな園舎のたたずまいは都会から訪れる人のあこがれの的でもあります。
  
同学園での「SIあそび」は18年目を迎えました。開園以来夏に近隣の「保養地」などで宿泊研修を行ってきましたが、コロナ禍の今年は宿泊を取りやめて2日間の研修に切り替えて開催されました。参加は両園からおよそ40人、私は2日目の午後、講義を担当することになりました。
午後の講義に先立って午前、理事長の遠藤崇浩先生の講話を拝聴しました。印象に残るお話がいっぱい詰まっていました。ほんの一部だけですが、メモしておきます。
「仕事とは何だろうか。人の役に立つことをすることではないか。だから『役に立ちたい』という思いで日々を生きることが大事だ。そして、保育者として、教育者として、
①保育の目標(ゴール)をしっかり持つこと。子どもの自立力と共存力を育てるためにどうサポートできるのかをいつも考えること。
②まず、「型」から入ることの大切さを知ってほしい。「お手本」があるからできるのだ。だから、「お手本」に習うということが大事になる。
③「やり方」(マニュアル)より、「あり方」が大切だ。自分は何事にも「前向き」か、「後ろ向き」になっていないか、こういう教師になりたい、こういう人間になろうと、自分を常に成長、向上させていこうという「あり方」を自分に問い続けていくことがとても大事になる。
と遠藤先生は参加のみなさんに語りかけました。
そのうえで、先生がいつもその生き方に学んでいる故小林一三氏(阪急グループの創設者)の考え方を引いて、
小林氏が挙げている①正直、素直であること②礼儀正しくあること③「感即動」つまり「感じたらすぐに動く」の三つを先生自身もモットーにしているが、そうありたいと思いながらなかなか難しいことだと説かれました。そして、ぜひ、理念にそった質の高い保育をめざしてほしいと強調されました。
私自身の講義に先立って聴講しながら、幼児教育にかける情熱あふれる、気迫のこもった遠藤先生のお話に感銘しました。
私の担当の午後は、2人の新人教諭の「SIあそび」保育を私が分析するという方法で進めました。
教材は、まず、年少の「かたちさがし」、図形の単位を「拡散思考」するというものです。「拡散思考」はギルフォード博士の画期的「知能観」です。従来の学校教育の70%は認知と記憶の働きを刺激するものにとどまっていて、創造的思考の根幹とも言うべき「思いつき」「自由な発想」「柔軟な思考」とりわけ「異質なものを組み合わせる」といった思考の訓練がほとんどなされていませんでした。そこで「拡散思考」的課題がもっと用意され、子どもに提供されなければならないというギルフォード博士の提起から「SI理論」(知能構造論)が生み出されたのです。ですから、子どもの着眼をどれほどの幅をもって受けとめることができるのか、そこが教師に問われることになります。こうした教師の「構え」をどう豊かなものにするのか、「拡散思考」という思考活動のむずかしさにふれながら学びを進めていきました。年中の「はめこみえちず」は、ものをじっくり見比べてぴったりの形を選び出すという、図形の単位を評価する課題です。そこで必要とされるのは「集中力」です。新人の先生方でしたが、子どもの集中力を引き出すあるいは生み出すという点で見事だと言えるものでした。学園での「SIあそび」との取り組みが着実に重ねられていることを実感することができてとても心強く思いました。これは、とりもなおさず、遠藤理事長はじめ学園一丸となって「SIあそび」と取り組んでおられること、そして、幼児教育にかける並々ならぬ情熱の賜物だと思いました。
「新型コロナ禍」で全国各園での研修もままならない状況ですが、こうして今回、2つの学園で、みなさんと対面しての研修に臨んで、自身もみなさんから多くの勇気をいただき、「Siあそび」の一層の深化、拡大にむけて邁進しなければと思いを新たにしました。
*ここで一部引用した「SIふりかえりレポート」・毎回の「基本自己評価表」については、その後詳細に読み込んで研修活動に役立てていますが、いずれ何らかの形でみなさまにも役立てていただけるようにしたいと考えています。


『SIあそび』研修センター代表 白濱洋征
                                        2020年7月17日
7月17日、千葉県船橋市の中山あけぼの保育園で同園の姉妹園4園合同の研修会が実施され講演しました。
新型コロナウイルス感染予防の観点から、園児の公開保育ができないため、0~3歳児担当の保育士のみなさんを対象に、子育ての目標「自分を信じ人を信じる子どもを育てる」をテーマにお話しました。このなかでは、とりわけ母子愛着の重要性についてお話ししました。

                            
愛着とは子どもが親から無条件に十分に愛されている実感のことを言います。基本的信頼感と言ってもいいですが、これから精神的に健康に生きていくための「根っこ」になるわけですから、いくら強調しても足りないくらいです。
みなさま熱心に聴いていただけました。久しぶりに保育の現場のみなさまとお会いして、私もこころ励まされました。


ギルフォードSI教育 白濱 泰一郎
                                                                                                                        2020年7月10日
 5月25日に緊急事態宣言が解除され、6月1日から神奈川県横浜市の幼稚園、東京都東大和市にある7園の保育園を中心に
『SIあそび』の保育や定期研修会を再開することになりました。
 今年度は「初任者研修会」がほとんどの会場で中止になったため、各園から「園内研修会」の要請をいただき、兵庫県神戸市、
宮崎県日向市へと、早速「県またぎ」して、出かけました。
園内研修会では、『SIあそび』のねらいや保育の進め方、子どもとの関わり方はもちろんですが、ロールプレイを取り入れています。
1グループ4〜5名に分かれて、まず、指定した単元について「どのような導入教材を作成し、またどのようなことに配慮しながら
進めていけばいいのだろう」という設定で、参加の先生方に指導計画を立てていただきました。
 その後、「保育者」と「子ども」役に分かれて模擬保育です。

 

 先生方は最初は不安そうでしたが、研修を終えた後は「いい経験ができて面白かった」との感想をいただきました。
『SIあそび』の保育、園内研修会の再開、そして何より、また子どもたちと出会い、関わることができて、笑い声、泣き声、時には叫び声?も、とにかく元気いっぱいな声を聴けることを大変嬉しく思いました。
これまで当たり前におこなっていた保育や研修会を、当たり前と思わず、一つひとつを大切にしていきたいと、あらためて思いました。今後も、鹿児島、青森、山梨と「園内研修」で伺わせていただく予定です。
 みなさまと手を携えて、そして、少しでもみなさまのお役に立てるよう、日々努力していかなければと思いを新たにしています。
 これからも、各園でみなさまとお会いするのを楽しみにいたします。
 どうぞ、よろしくお願い申し上げます。   
SIあそびへのいざない
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©共育舎(ギルフォードSIあそび)
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